投稿日:2023.11.06
知っているようで知らない風邪薬の話
暮らしのヒント
最近は寒暖差もあり、風邪を引いてしまった方も多いのではないでしょうか。
すぐに病院に行くのが一番いいのですが、何かと忙しいこの時期
できれば市販薬で済ませたいところです。
しかし、いざ薬局へ行くといろいろな薬が並んでいて、どれを選んだらいいのか迷いませんか?
そこで今回は、薬剤師の方に、風邪薬についていろいろ教えていただきました!
できればお世話になりたくないですが、いざという時のために
豆知識としてぜひ読んでみてください。
風邪薬の種類
一般的に「風邪」と言われているものはウイルスが引き起こすもので
原因となっているウイルスは実は1つではありません。
インフルエンザやコロナのように、ウイルスが限定されているものには
そのウイルスを退治する特効薬が存在しますが
風邪には、いくつもの原因ウイルスが存在するため
すべての風邪に効く特効薬というものは存在せず、
病院に行っても、症状に合わせた薬をいくつか処方されることになります。
つまりは、私たちが風邪だな、と市販薬を買う場合も同じで
症状に合わせた薬を選び、いくつか飲み合わせ
症状が治まったら、その薬を飲むのをやめる、ということが正しい飲み方になります。
えっ?市販薬って何種類も一緒に飲み合わせていいの?
と思う方もいらっしゃると思いますが大丈夫です。
熱が出て鼻水がつらい、という場合は
最初に解熱剤と鼻炎薬を同時に飲みはじめ、
熱が下がったら解熱剤の服用をやめ、
鼻炎薬のみ継続する、ということになります。
病院で処方される薬と同じ、と考えていいようです。
総合風邪薬は何にでも効く?
風邪で引き起こされるさまざまな症状に対応している「総合風邪薬」。
確かに多くの症状に対応していますが、
逆に言えば、熱がないのに解熱成分が入っていたり、
咳が出ないのに咳止め成分がはいっていたりと、
必要のない成分も入っている、ということです。
そのため、お子様が飲んではいけない成分が入っていたりもするので
「大人が2錠だから子どもは1錠なら大丈夫だろう」
と考えて、お子様に飲ませるのはやめましょう。
お子様でも飲めると表記された薬をきちんと選んでください。
また、持病があり飲んではいけない成分がある、といった方も注意が必要です。
また、総合風邪薬と聞くと
何にでも効くようなイメージですが
薬によって入っている成分が違います。
咳が出ているから、と総合風邪薬を飲んでも
咳止め成分がまったく入っていなかったら
意味がありませんよね。
選ぶ際は、どんな症状に効くの薬なのか、
確認してから服用してください。
薬の成分
それぞれの症状に効果的な成分です。店頭で薬を選ぶ際の参考にしてください。
≪熱≫
●アセトアミノフェン
お子様も飲める成分です。総合風邪薬でも入っているものがありますが、
解熱剤として売られているものの方が効き目があります。
ただし肝臓の持病がある方は避けてください。
●イブプロフェン
≪くしゃみ・鼻水≫
●クロルフェニラミンマレイン酸…眠気が出ることがあるので注意
≪咳≫
●ジヒドロコデインリン酸塩…口の渇きや眠気に注意が必要ですので、薬剤師さんに要相談。
●デキストロメトルファン…眠気に注意が必要なので、薬剤師さんに要相談。
≪たん≫
●ブロムヘキシン塩酸塩 ●L-カルボシステイン ●アンブロキソール塩酸
市販薬が効かない時は
市販薬を飲んで症状が改善すれば問題ありませんが
市販薬を飲み続けても症状が改善しない、
また次のような症状がある場合は、できるだけ早く病院に行きましょう。
●黄色の鼻水が出る。
●喉に強い痛みがある。
●38℃以上の高熱が続く
●インフルエンザが疑われる
その他 薬の話あれこれ
鼻炎の薬
風邪の症状として鼻水が出る場合には、抗ヒスタミン剤が有効です。
この抗ヒスタミン剤は眠気を誘発することが多いため、車の運転をする場合などは服用を避けましょう。
アルコールとの相性も良くない場合がありますので、服用期間中のアルコールは摂取は注意が必要です。
症状が治まったら服用をやめましょう。
これとは別に花粉症の鼻水の場合、眠気が出にくい薬もあります。
こちらは通年飲み続けても問題ないので、花粉症の症状が出る前から飲むことで
予防効果や症状の緩和の効果があります。
抗生剤は最後まで飲み切る!
抗生剤は、ウイルスではなく菌に対して処方される薬で、市販薬にはありません。
病院を受診した際、医師が菌による感染を疑う場合に処方されます。
菌を完全に根治するために
計算された薬の量が処方されるので
たとえ症状が消えても、
必ず出された分は最後まで飲み切りましょう。
また、手元に残っている抗生剤があったとしても、自己判断で服用はしないこと!
必要な量をきちんと服用せず中途半端に摂取してしまうと、根治できないばかりではなく、
菌が薬に対しての耐性を持ってしまうため、同じ薬を処方された時に効かなくなってしまうのです。
もし、抗生剤を飲んでしまった後に受診する際は
医師に抗生剤(薬の名前も)を飲んだ、ということをしっかり伝えましょう。
置き薬のすすめ
通常の市販薬は、日の当たらない涼しい場所(30度以下の室温)であれば
1年くらいは問題なく保管・服用できます。
最近では、咳止めの不足がニュースになるなど薬不足の話題を耳にすることもありますよね。
風邪の初期に薬を服用することで、重症化せず、早めに治せることもあるので
コロナの検査薬や解熱剤、咳止めなどは、あらかじめ家に備えておくことがおすすめです。
薬を飲むときは水、が基本
風邪薬の臨床試験では、水で服用することを前提に試験を行っているため
服用する際は、特別な状況がないかぎり、水で服用するようにしましょう。
薬の中には、鉄剤などお茶で飲むのはNG、というものもあります。
また、体力が落ちているからと栄養ドリンクで服用するのもやめましょう。
栄養ドリンクにはカフェインが含まれており、カフェインと相性が悪い薬もあるからです。
もちろん、アルコールは×。
特に解熱剤のアセトアミノフェンについては
服用時はもちろん、服用前後も飲酒は避けましょう。
アセトアミノフェンが肝臓で代謝される薬のため、
肝臓に負担をかけ悪影響を及ぼす可能性があるからです。
普段から飲酒が習慣の方は要注意です。
【取材協力】
ピノキオ薬局 ゆいの杜店 吉澤 知美 さん(写真左)
栃木県内を中心に大型調剤薬局を主とした店舗を展開している保険調剤薬局「ピノキオ薬局」。現在店舗数は47店舗、約200名の薬剤師が在籍しており、吉澤さんはエリア長を務めていらっしゃいます。
「風邪をひいたな、と思ったら早めに受診されるのがおすすめです。市販薬を購入される際には、店舗にいる薬剤師にご相談ください。お客様の症状やご希望に合わせ、最適なお薬、効果的な飲み方、服用時の注意点などもご説明させていただきます」。